情報の取扱いについて
管理情報の収集・取扱い
『京都マンションデータバンク』が目指すのは、「消費者とマンション管理組合にとって、本当に役立つデータバンク」です。 したがって、マンションの管理状況を知るために必要な情報はできるだけ多く掲載していくことを基本姿勢としていますが、 一方では、個人情報や機密に属する情報を漏らすようなことがないよう情報管理に万全を期さなければならないのも当然のことです。
当機構が収集している管理情報の大半は管理会社が作成する「管理に係る重要事項調査報告書」に基づいています。この報告書を、マンション売買を取り扱った不動産会社から入手し、個人の滞納額など個人情報に該当する項目を除き、情報公開を行っています。
この報告書は当初、売主の滞納額や管理費等の引き上げなどにより生じることのある買主の不利益を防止するための仕組みでしたが、役割は大きく変化しました。マンション管理業協会が作成した報告書最新版は消費者(購入見込者)へ提供する管理情報を質、量ともに飛躍的に拡大、充実させるものとなりました。管理情報公開への歴史的転換点というべきです。
こうして「管理に係る重要事項調査報告書」はマンション流通市場において欠かせないツールとして広く活用、利用されようとしています。
当機構はこの最新版に注目し、まずは不動産団体に働きかけ管理会社が最新版を採用するよう要請しつつ、他方で、消費者への管理情報提供のための実務研修を行っています。
自主管理マンションの場合でも、不動産業者は最新版に添って同じ内容の書類を作成するよう努めています。
最新版は管理情報公開の大きな流れを作り出しました。この流れを反映すべく当機構もHPを刷新し情報発信の仕組みを抜本的に改善することとしました。2025年度から運用開始する段取りです。
宅地建物取引業法に基づく情報公開
管理組合保有情報は公開されるべきとして、当機構が不動産業者の協力を得て、管理会社作成の「管理に係る調査報告書」(以下、「調査報告書」という)を収集し、その概要をこの10年余、WEBを通じて公開してきました。この調査報告書は購入検討時において消費者に提供されることが多く、重要な判断材料となっています。売買契約時には重要事項説明書の添付書類として買主に提供しなければなりません。管理情報の公開(調査報告書)は宅建業法の要請として進められ、次第に充実した内容となってきました。
宅建業法に基づく情報公開
(1)管理情報公開は買主(消費者)保護が端緒、宅建業法に基づく
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①
マンション版重要事項説明書の位置づけ
宅地建物取引業法第35条に定める 「重要事項説明書」の対象は広範囲に及び個人情報も含まれるものの、登記記録や都市計画など、その大半が公開情報です。 同法施行令第16条の2を新たに設け、管理情報公開が義務づけられた同条に定められてます。
主なものを列記すると下記の6項目です。二:共用部分に関する規約の定め
三:専有部分の用途その他利用の制限に関する規約の定め
六:積立金に関する規約の定め、積立金残高
七:管理費
八:管理会社
九:修繕工事の記録上記の事項は、登記記録や都市計画などとともに公開情報として広告段階から消費者へ提供され、調査報告書の内容が広く周知されています。
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②
管理に係る調査報告書
前記の他、積立金引上げなどの買主のリスク軽減のため、次の内容を管理会社は調査報告書に記載し開示しています。これらは区分所有法対象建物であることに由来します。
ア:紛争予防(買主保護):区分所有法上、買主が負担することとなる事項
- 管理費、積立金の滞納額(個人情報)
- 専用使用権、専用使用に関する規約等の定め
- その他の管理組合が請求権を持つ費用(水道料、専用使用料など)
- 上記費用滞納額(個人情報)
イ:買主負担が想定される情報開示
- 管理費、積立金等の滞納額総額
- 管理費、積立金等の引き上げ予定
ウ:強制加入である管理組合に関する情報の開示
- 長期修繕計画書の添付
- 総会資料の添付
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③
その他の重要事項
同法第47条は業務に関する禁止事項として第1号ニ「(消費者の)判断に重要な影響を及ぼすこと」が追加されて、仲介業者の調査、説明義務が重くなりました。
(2)調査報告書作成の当事者
管理組合は委託契約に基づき管理会社に調査報告書発行業務を包括的に委託しています。不動産業者は売却依頼を受けると管理会社に作成を求めます。その際、不動産業者は、売主の依頼(媒介契約書もしくは委任状)があることを明らかにしなければなりません。売主の同意を要するのは、滞納など売主の個人情報が一部含まれていることからです。個人の同意を得るからといって調査報告書がすべて個人情報になるわけではありません。

上記の図式から管理情報が不動産業者(市場の担い手)に公開されていることがわかります。
(3)調査報告書の取り扱い
以上の通り、 個人情報を除けば調査報告書記載の管理情報が守秘義務の対象ではないことは明らかです。 管理情報が市場に蓄積されるようになると、消費者(購入予定者)は不動産業者を通じてマンションを比較、検討することができるようになります。管理情報公開には公益性があると言えます。
宅建業法に基づかない情報公開
(1)自主的管理マンションでは管理組合が情報公開の主体
管理組合の多くは情報公開に対して無自覚、無関心であることが多いです。なぜなら「おまかせ管理」になりがちで、情報公開主体という意識は生じにくいのです。しかしながら、自主的管理マンションでは管理主体意識が強く、管理情報を冊子にして配布するなど独自に情報公開をすすめているところもあります。
(2)個人間売買
前述の自主的管理マンションの他、不動産業者が介在しない個人間売買の場合、何らかの管理情報公開の仕組みが研究されるべきです。