京都市においてマンション流通市場が形成されたのは、1978年ごろです。 当時から、中古マンションを購入しようとする消費者にとって、マンション管理の状況は切実な問題でした。 この間、マンション流通市場を担う不動産業者をはじめ実務家、また建築士や弁護士などの専門家がマンション管理レベル向上に努力し、京都市においては他の自治体にはない成果を挙げてきました。

 そのひとつは、京滋マンション管理対策協議会の設立です。 同協議会の設立や運営に、不動産業者の支援があったことは広く知られています。 同協議会会員マンションにて生じた暴力団事務所の入居問題から、我々不動産業者の有志は1988年、管対協推薦仲介業者協議会を結成し、同協議会とともにマンション流通市場の整備、拡充に取り組むことになりました。 その結果、同協議会会員マンションではふたたび、暴力団事務所問題はおこらず、そのほか競売物件への対応など、実績をあげてまいりました。

 この間、分譲マンションが住宅市場に占める位置は著しく大きくなり同時に多様化してきました。 それにともない流通市場の役割も変化しつつあります。 そこで管対協推薦仲介業者協議会は2003年、総会を開催しこの協議会を母体としてより広い基盤での活動形態をめざすことを決定し、新組織を構想してまいりました。

 今日、国や自治体が、マンション管理組合への支援策をひろげ、同時に中古マンションの流通促進策を講じようとするとき、私たち、マンション流通市場を担う不動産業者は、管理と流通の多角的な視点に立って、マンション流通協会を設立します。 京都においては、マンション流通市場における不動産業者の役割を自覚し、マンション仲介を通じてマンション管理レベルの向上に寄与しうる新たなしくみを提起します。

 マンション流通協会はまず、マンションストック情報の収集・整備を行い、開設する「京都マンション流通機構」のホームページにおいて順次公開します。 「京都マンション流通機構」の開設によって、消費者の選択がより適切に行なわれるでしょう。

 マンション流通協会は、国土交通省や京都市の住宅政策と連携するとともに、マンション総合研究会がおこなう「京都マンションデータバンク」の運営を支援し、これを「京都マンション流通機構」のホームページにおいて公開します。 この「京都マンションデータバンク」は管理レベルの評価を行います。 当協会はマンション総合研究会とともに、管理レベルの高いマンションが市場においてより高い評価がうけられる新たな「循環」を目指します。

 マンション流通協会の設立は、マンション流通と管理にとって、新しい段階への移行を意味します。 売り手も買い手も消費者であり住民であると言う中古マンション売買の特質を生かして、管理の良いマンションの流通を促し、消費者に広く受け入れられる新しいマンション流通市場を形成したく考えます。管理と流通の良い循環を目指して、管理組合をはじめ、専門家の皆様のご協力を期待します。

2005年4月18日

マンション流通協会設立総会