1.流通市場における「京都方式」の研究、実践

 マンション総合研究会は不動産コンサルタント、マンション管理士、弁護士、建築士などの専門家や管理組合役員などで設立され、マンション管理評価制度の研究を進めてきました。 当協会も代表を送ってこの研究会の活動に参画しています。
 京都市が主催する「すまいスクール」の講師のうち、マンション、不動産関係の大半が、マンション総合研究会ならびに当協会のメンバーです。 これまでの活動実績が評価されたものと思います。
 築年を経た中古マンションを購入しようとする消費者が一番知りたいのは、買おうとするマンションの管理レベルの情報です。 とりわけ、管理レベルの高いマンションを評価するべきは、築年を経たマンションなのです。 ここに、流通と管理の良い循環をめざす新たなしくみの可能性があります。 当協会は、管理レベルの情報公開を進めるマンション総合研究会と連携して、以下の事業をすすめ、このような消費者の期待にこたえます。

(1)管理レベルを反映する商習慣の研究

 マンションを買おうとする消費者に管理規約、積立金、長期修繕計画などの情報を提供して、管理レベルをすすんで説明する、新しい商習慣を「京都方式」として確立していきます。

(2)重要事項説明書の収集

 売買の際、積立金残高の表示や長期修繕計画の添付などをおこなって、各社が仲介のつど作成する重要事項説明書を充実します。 そのため、当協会は管理レベルにかかわる情報を集積し共有します。

(3)管理レベル情報の交換、管理評価への参画

 当協会は、会員各社が収集する重要事項説明書のうち管理レベルの情報をもとに、各マンションについてその管理レベルの評価を有しますが、あらたにスタートする「京都マンション管理評価機構」がおこなうマンション管理評価事業に参画します。

(4)中古マンション評価手法の確立

 ある地元信用金庫は50年から築年数を差し引いて、その年数を返済期間の上限としています。 これでは、若い人は毎月の返済額が増え、管理のよい中古マンション購入意思を阻喪させます。 不適格マンション問題も楽観できません。 築年を経たマンションの流通を促すために、わたしたち不動産業界はもちろん、各界の認識を新たにして連携をすすめる必要があります。

2.「京都マンションデータバンク」との連携

 私たちは、消費者が中古マンションの売買にあたって、マンションの個別情報を一覧性のあるかたちで入手できるようまったくあたらしいマンション流通市場をめざしています。 そのために、これまで業者間に限定されがちだったマンションごとの管理情報をできる限り消費者に届けるため、インターネットを通じて管理情報を公開する「京都マンションデータバンク」に協力しています。 「京都マンションデータバンク」はマンション総合研究会が運営していますが、年間、10万件をこえるヒットがあり、広く定着しつつあります。
 「京都マンションデータバンク」の資料は、マンション総合研究会が収集するもの、管理組合から提供されるもの、そして当協会が提供するものからできています。 当協会としては、このHPを充実させて消費者の深い信頼を得たく考えます。


3.「京都マンション管理評価機構」設立に参画

 当協会は、会員各社が収集する重要事項説明書のうち管理レベルの情報をもとに、各マンションについてその管理レベルの評価を有しますが、あらたにスタートしようとしている「京都マンション管理評価機構」がおこなうマンション管理評価事業に参画します。
 「京都マンション管理評価機構」は管理が優良なマンションを20項目にわたって評価し公表する計画があります。 この評価システムが流通市場を通じて実際に消費者に提供され、広く管理に対する関心がたかまるようになれば、それはマンション住民の管理に対する意欲を刺激することでしょう。 中古マンション市場をになう私たちは、各マンションにおいて管理レベル向上への気運が強くなることを期待します。


4.不適格マンション問題等への取り組み

 姉歯問題以降、関連の法律の改正がおこなわれ、分譲マンションの建築、販売、管理等のシステムが全般的に見直されつつあります。 宅地建物取引業法も改正されて、住宅性能表示の強化等が実施されます。 2003年の国土交通省の重要事項に関する通達や最近の判例など、中古マンションの流通業務において仲介業者の責任は一段と重くなる傾向があります。 マンションでは、近隣との人間関係や共有部分の瑕疵など、調査が難しい問題があるもの、また、中古物件特有の履歴問題についても仲介業者の調査責任は及ぼうとしています。
 また、2007年9月1日施行された新景観政策により大量にうまれた「不適格マンション」問題は、築年を経たマンションに対するこれまでの管理や流通市場での成果を損なう危険性をはらんでいます。 管理を評価する市場の確立は急務でしょう。
 私たちはこれらの課題に積極的に取り組み、マンションを売り買いする消費者の不安を解消したく考えています。